「おっと。これは、スガリの根ですね。要厳重保管、と」
「毒のある方ですか、無い方ですか?」
「無い方です。……でも取りには来ないでしょうね」
「それでも保管するんですか?」
「ええ。規則ですから」
「それ、いただくことはできませんか。取りに来ないとわかっているなら」
「できません。規則ですから。
それに、あなたたちには効きませんよ。
あなたのいた世界とは違う世界の植物ですから」
「でも試してみなければわからないでしょう?」
「そうですね。でも、無駄です。
結局別の世界の物を使ってまで起こせる奇跡なんて、
ないんですよ。
あなたはその事をよく御存じなのではないですか?」
第五章「ソラノナカマチ」へ進む