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「あ、砂ホタルですね。
残念。
落し物でなければ私がいただくところなのですが。
好物なのですよ、これ」
「あとこれは、エアクリスタルですね。
青いですけど、どんな栄養が入ってるんでしょう?」
「このおせんべいもおいしそうですよ」
「……でも全部、落し物なんですよね」
「……ええ、保管します。非常に残念です」
「落し物が食べ物や生き物だったらどうするんですか?
腐ったりしないんですか?」
「基本的には落とした記憶ですから、腐ったりはしません。
それにこの定期券も、それに関わる場所も物も人も、
時間とは無縁のところに生きているんですよ。残念ですが」
「時が、無いのですか?」
「ええ。だから私はいつまで経っても拾遺物係なんです。
ずっと、ずーっと昔からね」
第九章「やくそく」へ進む